最近、筆者の身内が亡くなってしまったのだが、相続の手続きに出生から死亡に至るまでの戸籍謄本が必要になった。
最初は該当する戸籍の役所に出向いたのだが、運悪くシステムメンテナンスとのことで、その時は戸籍謄本を取得できなかった。
しかし、その時に戸籍証明書の広域交付が令和6年3月1日より施行しているとお聞きし、近くの役所より申請してみてはどうかという提案を受けた。
ちなみに戸籍証明書の広域交付とは、全国の市区町村の窓口にて戸籍証明書を申請できるというもの。
以前までは、本籍地の市区町村役場にて証明書の申請を行う必要があったが、全国どこでもできるようになったというものだ。
ただ、広域交付は便利な反面、時間がかかるといったようなデメリットもあるようで、今回は実際に起きたトラブルなども交えながらまとめてみようと思う。
目次
戸籍の広域交付で時間がかかる?
戸籍の広域交付を聞いたときは非常にありがたいと思ったが、実際に利用してみると時間がかかるので不便だなと思った。
まず、とある市では死亡のみの除籍謄本であればすぐに出せるが、出生から死亡までの分となると、2~3日かかるといわれた。
申請しても結局取りに行かなかないといけない手間も発生し、しかも土日等が開いている出張所などでは広域交付は対応できず、平日の日中に足を運ばないといけないという。
仕事をしていると足を運ぶのもなかなか大変である。
本籍地の役所であれば、土日対応も対応してくれる出張所の利用も可能なので、筆者の場合は、わざわざ2回も足を運ばなければならない本籍地以外の役場より、土日対応してくれる本籍地の出張所の方が利用しやすかった。
しかも、本籍地以外だと、手続きに時間がかかるので、通常であれば9時から17時までであれば戸籍証明書等の手続きは可能だが、広域交付かつ出生から死亡までともなると、早めに受付しないと対応できないといわれる可能性がある。
なので、可能であれば15時くらいには受付を済ませておきたい。
そうなると平日仕事をしているサラリーマンの場合、戸籍証明の取得のためにわざわざ2日分の休暇を取らないと難しい可能性もある。
また、役所によって対応が異なる場合があり、筆者のように2~3日かかる場合もあれば、その日中に発行できる場合や、もっと時間がかかる場合もあると思う。
ちなみに、郵送での広域交付は不可とのことだ。
戸籍の広域交付でのトラブル
戸籍証明書の広域交付は大変便利であるが、法務省が運用する戸籍情報連携システムを用いて、他の市区町村との連携を必要とするため、アクセスの集中によるシステムダウンなどのトラブルが過去に起きていた。
実際、令和6年3月の制度開始直後には、全国的に申請が殺到した影響で、システムが不安定になり、広域交付の受付自体を一時停止している自治体もあったようだ。
申請内容に不備がなくても、システム上で過去の戸籍をたどるのに時間がかかり、結果として長時間待たされるケースもあるという。
さらに、広域交付では取得できる戸籍の範囲や条件が厳密に定められており、相続人本人であっても立場や戸籍の内容次第では委任状が必要な場合や、想定していた戸籍が取得できないといったトラブルも起こり得る。
その場合、本籍地の役所に改めて申請し直す必要が生じ、二度手間になってしまう可能性も否定できない。
このように、制度としては非常に画期的である一方、運用面ではまだ過渡期にあり、利用する側もある程度の時間的余裕と心構えを持って臨む必要があると感じた。
結局のところは事前に役所へ電話等で問い合わせて、システムメンテナンスや障害の有無、所要時間も含めて確認してから足を運ぶのが賢明であろう。
法定相続情報証明制度を活用するという手も
今回、出生から死亡までの戸籍謄本を取得する中で、役所の方から一つ便利な制度をご教授いただいた。
それは、「法定相続情報証明制度」を活用するというものだ。
通常、相続手続きでは、銀行、証券会社、法務局など、提出先ごとに同じ戸籍一式を何通も求められるケースが多い。
しかも、原本提出を求められることもあり、そのたびに戸籍を取り直す時間と費用が必要になる。
そこで活用を検討したいのが法定相続情報証明制度である。
法定相続情報証明制度とは、被相続人の戸籍(出生から死亡まで)と相続関係を示す書類を法務局に提出し、相続関係を一覧にまとめた「法定相続情報一覧図」を作成・認証してもらう制度だ。
一度、この一覧図の写しを取得してしまえば、金融機関や登記手続きなどにおいて、戸籍謄本一式の代わりとして提出できるという非常に便利な仕組みになっている。
しかも、この制度の大きなメリットとして、一覧図の作成・認証は無料、写しも何通でも無料、戸籍原本を返却してもらえるといった点が挙げられる。
今回のように、広域交付で戸籍を集めるだけでも時間と手間、そして費用がかかることを考えると、相続手続きが複数ある場合は、最初に法定相続情報証明制度を利用しておいた方が、結果的に手間もコストも大幅に削減できる可能性が高い。
ただし注意点として、法定相続情報証明制度を利用するためには、結局のところ出生から死亡までの戸籍一式が必要になる点は変わらない。
そのため、戸籍収集の段階では広域交付や本籍地申請をどう使い分けるか、その後の相続手続きをどれだけ簡略化したいかを考えたうえで、「戸籍を集めたら、そのまま法定相続情報証明制度も使う」という流れを最初から想定しておくのがおすすめである。
ちなみに筆者の場合、出生から死亡までの戸籍が必要な金融機関は一つだけだったので、法定相続情報証明制度を利用する必要はなかった。
考察・まとめ
正直、わざわざ本籍地に足を運んだにも関わらず、システムメンテナンスで追い返され、広域交付も時間がかかるといわれ、正直かなり苛立ってしまった。
結局は手間がかかっただけで、最終的には出生から死亡に至るまでの戸籍謄本は取得できたものの、費用は数千円もかかった。
※出生から死亡までの戸籍は1通分ではなく1セットという扱いになり、戸籍1通ごとに料金が発生するため。
しかも、交通費や時間の手間もプラスアルファでかかったが、得られる相続のお金はなんと!!!
たったの数十円ぽっちだったという、コスパもタイパも全然見合わない(むしろマイナス)という最悪の結末を迎えた。
それはともかくとして、筆者と同じように広域交付の利用を検討されている方は、時間制限が厳しかったり、本籍地と違って郵送などの融通が利かなかったりするので、くれぐれもご注意いただきたい。
そして、無駄足にならないためにも事前問い合わせは推奨したい。












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