マイナンバーカードを利用して使用する保険証、いわゆる「マイナ保険証」が、2025年12月2日より本格始動した。
同日以降、従来の健康保険証は原則として有効期限切れとなり、医療機関を受診する際には基本的にマイナ保険証を持参する必要がある。
マイナ保険証は従来の保険証とは異なり、「オンライン資格確認システム」を用いて保険資格の有効性を確認する仕組みである。
しかし、運用開始後も各所でトラブルが発生している状況である。
<主なトラブル例>
・顔認証が正常に行われない
・暗証番号を失念してしまう
・マイナ保険証の有効期限切れ
・医療機関側システムの不具合
これらの問題は患者側だけでなく、医療機関側のトラブルによってマイナ保険証が使用できないケースも含まれている。
本記事では、ORCAを利用している医療機関のトラブルの中でも特に多い、
OnshiReceiverをWindowsパソコンへインストールしたがOnshiReceiverが起動しない(接続できない)場合の対処法などについて見ていこうと思う。
目次
OnshiReceiverとは何か
OnshiReceiverとは、日本医師会ORCA管理機構が提供するソフトウェアであり、
オンライン資格確認の結果をレセコン等へ連携するためのクライアントソフトである。
このOnshiReceiverが正常に起動しない場合、オンライン資格確認端末で資格確認ができていても、
その結果をレセコンが受信できないという問題が発生する。
特に、onshi-toolsをWindowsパソコンへインストールして運用している環境では、
OnshiReceiverの起動トラブルが発生しやすい傾向にある。
OnshiReceiverが起動しないのはなぜ?
OnshiReceiverが起動しない(接続できない)原因はいくつか考えられるが主な原因としてはおそらく以下になると思われる。
①起動時の処理が重すぎる
②ゴミ(キャッシュ・ログ)が溜まる
③サービス情報と実体がズレる
そして、それぞれの詳細については以下。
①起動時の処理が重すぎる
OnshiReceiverは起動するときに、プログラム本体の準備、設定や証明書の読み込み、ネットワーク接続の準備等を一気に全部行う。
Windows は「一定時間内に起動完了してね」と見張っているため、時間がかかりすぎると「失敗」と判断されて止められる。→ 7009 エラー
② ゴミ(キャッシュ・ログ)が溜まる
長く使うと、通信の履歴、ログ、状態を覚えるファイルが溜まったり壊れることがある。
そして、起動時にそれらを読もうとして遅くなったり、エラーで落ちることがある。
③ サービス情報と実体がズレる
Windows は「ここにあるプログラムを起動する」と覚えているが、
実際のファイルが消えていたり、中身が変わっていた場合は、起動しようとして即失敗→停止ということが起こりうる。
次章以降では、実際に効果が確認されている具体的な対処法を段階的に解説していく。
OnshiReceiverへ接続できない場合の対処法①
OnshiReceiverが起動しない、もしくは起動後すぐに停止してしまう問題は以前から報告されており、ORCA公式サイトでも対処方法が公開されている。
<ORCA公式が案内する対処法>
Windows上で「サービス:OnshiReceiver」が停止する場合、以下の設定を行う。
1.Windowsの検索窓に「サービス」と入力する
2.サービス一覧からOnshiReceiverを探す
3.サービスからOnshiReceiverを選択する
2.プロパティを開き、「回復」タブを選択する
3.以下の内容で設定する・最初のエラー:サービスを再起動する
・次のエラー:サービスを再起動する
・その後のエラー:何もしない
・エラーカウントのリセット:1日後に行う
・サービスの再起動:3分後に行う
・エラーで停止したときの操作を有効にする:有効設定後、「サービス:OnshiReceiver」を再起動し、動作状況を確認する。
引用元:日本医師会ORCA管理機構公式サイト
[https://www.orca.med.or.jp/receipt/use/jma-onshi.html]
<それでも停止する場合>
上記の設定を行っても、OnshiReceiverのサービスが頻繁に停止するケースは少なくない。
停止してしまった場合は、以下の方法で手動開始を行う。
①「サービス」から OnshiReceiverをダブルクリックして選択する
②サービスの状態が「停止」であれば「開始」をクリックする
サービスの状態が「実行中」となっていれば、OnshiReceiverは動作している状態である。
OnshiReceiverへ接続できない場合の対処法②
前項の手順にて手動でOnshiReceiverを起動できたとしても、頻繁に停止する状況では運用上の負担が大きい。
この点について調査したところ、ORCAより「OnshiToolsWatch」という補助ツールが提供されているようだ。
OnshiToolsWatchの役割としては下記のものが挙げられる。
・OnshiReceiverのサービス稼働状況を監視する
・サービスが停止した場合に自動で再起動を行う
・管理作業の省力化が可能となる
参照URL:[https://www.orca.med.or.jp/receipt/use/jma-onshi.html]
<動作環境の注意点>
ORCA公式サイトによると、OnshiToolsWatchの動作環境は「Windows 11(x64)」とされており、Windows10やWindows10 LTSC等での動作は保証されていない。
そのため、Windows10環境でOnshiReceiverを利用している場合、OnshiToolsWatchが使用できない可能性がある。
そのような場合に検討すべき方法が、次項で述べる最終手段である。
OnshiReceiverへ接続できない場合の最終手段
サービスの回復設定やOnshiToolsWatchを用いても問題が解消しない場合、
OnshiReceiverを完全に削除し、再インストールを行うことで改善が見込まれる。
<削除・再インストール手順>
1. onshi-receiverフォルダをデスクトップへコピーし、バックアップを作成する
2. OnshiReceiverのサービスを停止する
3. コマンドプロンプトで以下を実行する
sc delete “OnshiReceiver”
4. OnshiReceiverフォルダを削除する
5. PCを再起動する
6. onshi-toolsをアンインストーラーで削除する
7. PCを再起動する
8. onshi-toolsを再インストールする
onshi-toolsのダウンロードURL
[https://ftp.orca.med.or.jp/pub/etc/onshi/onshi-tools-installer-0.2.7.exe]
9.バックアップ用にコピーしておいた「onshi-receiver.yml」を[C:\Program Files (x86)\Onshi\onshi-receiver]に配置し、既存ファイルと置き換える
※環境により保存先が異なる場合がある
10. PCを再起動する
11. サービス「OnshiReceiver」が実行中であることを確認する
<実施後の結果>
筆者の経験上、本手順を実施することでOnshiReceiverの動作が安定した。
※注意事項
・作業前には必ずonshi-receiverフォルダ等のバックアップを取得してください。
・本記事を参考に作業した結果の不具合について、本サイトは一切責任を負いません。
・すべて自己責任にて実施してください









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